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2026.07.01夢中がトラブルを予防する【園長のひとり言】

さてさて、こども園で起きるトラブル4歳、5歳編です。

この時期は子どもたちの発達に質的転換が起こる傾向があります。乳幼児期で言えば1歳半の独立歩行が可能になったとき以来の大きな転機です。これまでは、ことばの数が増えたり、行動範囲が広がったりと量の変化の連続でしたが、年長になり質が変わります。

例えば、野菜など苦手なものを少し食べてみよう、とか、やりたくないけど挑戦してみよう、など。

乳児期はおおよそ、心と身体がくっついているから嫌なものはイヤ。食べたくないものは食べません。その一方、子どもが「だけど」とか「でも」という言葉を獲得するなかで、心と行動を分けられるようになります。

また、自我の育ちによって、友だちが並んでいるから並ぼうとか、年下の子におもちゃを貸してあげようなど外発的な動機で自分を律することができるようになったりします。

心と行動が分かれることで、これまで以上に多様な機会や仲間との関わりが増え、社会的な育ちが加速していきます。待ってろよ。小学校と言わんばかりに(笑)

と、ここまでは積極的な変化ですが、もちろんこの時期特有の消極的な変化がともないます。保育者を手こずらせるという意味で。

心と行動が分かれることの消極的な側面は、簡単に言えば興奮していないのに「ふざける」です。

これまでは、身の回りで興奮、高揚することが起こることでおどけたり、ふざけたりしていました。が、この時期はそういった背景なく起こります。対人的に言えば、そのふざけがエスカレートして喧嘩になります。しかも力が強くなっている。

その結果として怪我につながるケースがあります。保育者にとっては、理由なく急にふざけだすので予測するのが、とても難しい。対処が遅れてしまう原因の一部がここにあります。

ただし、発達の積極性と消極性は表裏一体でどちらかだけを消すことはできません。

だからこそ大切なのは、ふざけをなくすことではなく、積極性にフォーカスすること。つまり質的転換により多様化した探究心や遊びの広がり、この夢中を手放さない環境や機会を創造するなかで、結果としてトラブルが起きにくい状況を目指すことが保育者の一義的な役割だと言えます。

もうひとつ。育ちのプロセスで押さえておきたいのは2回目の反抗期がやってくること。

保育者への反抗はもちろん、決められたルールや生活の秩序を分かった上で反抗します。例えば机に上ったり、飛び跳ねたり。

お分かりの通り机は乗る仕様になっていないため、バランスを崩したりしたらどうなるか。滑り台を逆行したら何が起こるか。残念ながらリスクを予期して行動することはできません。

怪我ではないけれど就学前後に起こるため、小学校へ行きたくないと反抗する場合もあるのでご用心。反抗のしかたは様々ですが、これらは台風のようなもの。無理に止めようとするのではなく、安全を守りながら、その時期に丁寧に付き合っていくことが大切です。押さえつけてなくしてしまうと、そのマグマは思春期に大噴火します。

だからといって、何でも反抗を許容していたら事故や怪我につながってしまいます。ではどうすればよいか。方法は、とてもシンプルです。その可能性を考慮しつつ、繰り返し伝えていく。そして、ここでも再登場、夢中を増やすことが最適解です。夢中になっている子どもは大抵真剣に遊んでいます。真剣になっている状態だとふざけも反抗も身を潜めています。

この反抗期は就学前後に訪れるので、こども園時代にはこないこともあります。あくまで経験上ですが、女の子の方が少し早く訪れる印象があります。

ここまで長々とトラブルや怪我のことについてお話してきましたが、それらが園で起こらない方が良いに決まっています。ただ、その背景にある育ちの過程を考慮して予防しなければ大切な機会を失ってしまうことだってあります。

子どもは、転んで手のつき方を覚え、ぶつかり合って人との距離を学び、ふざけて注意されることで加減を知っていきます。どれも、大人から見たら「起きてほしくないこと」ばかり。

でも、起きてほしくないことのなかに、育ちの種があるのです。

3か月にわたって怪我とトラブルについてお話してきました。私たちが目指しているのは、トラブルのない保育ではなく、トラブルの意味を理解しながら子どもたちと向き合う保育です。その上で、子どもたちの夢中を広げること。それが結果としてトラブルを遠ざける、最も確かな道だと信じています。

 

 

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