2025.05.01バランスよりも順番【園長のひとりごと】
乳幼児期に欠かせない「母性性」と「父性性」のお話。「母性」「父性」と聞くと、お母さんやお父さんのことを思い浮かべるかもしれません。でも、ここでお話ししたいのは「母性性」と「父性性」という、子どもを育てるうえでの心のはたらき、役割のことです。
つまり、「母親」「父親」という“人のこと”ではなく、子どもに関わる大人が持つ養育のスタイルや機能についてです。
この養育者としての性質を「親性」といい、その中に「母性性」と「父性性」という2つの原理があると考えられています。
そして大事なのは、これらは性別に関係なく、すべての人の中にあるものだということ。お母さんにもお父さんにも、どちらの性質も備わっているのです。
では、この2つの性質とは、具体的にどんなものか整理してみましょう.
◎ 母性性 …… すべてを受け入れて包み込む性質。
「そのままでいいよ」と、子どもをまるごと受け止めるような温かさ。
◎ 父性性 …… 社会のルールや秩序を教える性質。
「こうすることが大切だよ」と、子どもを導き、背中を押してくれる働き。
どちらも子どもの成長には欠かせない大切なものです。ただし、ここがポイントで乳幼児期は「バランス」よりも「順番」を重視すべし、です。
まずは「母性性」たっぷり多めをおススメ。赤ちゃんや小さな子どもは、「ありのままの自分」をそのまま受け止めてもらうことで、自己肯定感や自立心が育ちます。
この土台がしっかりしてこそ、次に「父性性」の導きが子どもの心にしっかり届き、意味を持つようになります。
たとえば職場を想像してみてください。
いつも怒ってばかりの上司と、まずあなたを認めてくれる上司、どちらのもとで「がんばろう」と思えるでしょうか?...きっと後者のはず。
子どもも同じです。「自分は大切にされている」「受け入れられている」と感じることで、初めて「やってみよう」「がんばってみよう」という前向きな気持ちが芽生えるのです。
感覚的には、3歳くらいまでは、ほぼほぼ母性性だけで十分です。4〜5歳ごろになると、母性性が8割、父性性が2割くらいのバランスがちょうど良いかもしれません。
「それって甘やかしすぎじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、心配無用です。
なぜなら、小学校に入ると「挨拶しましょう」「席に座りましょう」「宿題はやりましたか?」「テストで〇点取りましょう」などなど、まさに「父性性」のかたまりのような世界が始まるからです。
そうした社会的なルールや要求を子どもがしっかり受け止め、前向きに取り組んでいけるためには、それまでに「母性性」をしっかり注がれていることが、心の栄養として必要なのです。