2019.09.01高次元なごっこ遊び【園長のひとり言】
ごっこ遊びのお話。皆さんも子ども時代に経験があるコレは、お母さんやお店屋さんなど様々な対象を真似して楽しむ遊びで、幼児期の後半から盛んになります。
そのはじまりは1歳半くらいから。難しい言葉だと表象能力とか象徴機能とか言ったりするのですが、具体的な知覚経験をもとに時や場所を変えて自分なりのやり方で活動する能力を獲得することで、できるようになります。これを延滞模倣と言ったりもします。
最初は、目の前にはないものを、別の何かに見立てるようにして遊びます。例えば、飲み物の入っていない容器をコップに見立てて飲んでいるつもりになったり、お手玉をおにぎりに見立てて食べているつもりになったり、と。ここで大切なのは、身近なものに見立てたくなるような道具や具材を用意すること。多少の費用は掛かりますがその後の柔軟な発想力や豊かな想像力へと繋がっていくので投資だと考えてくださいね。
この見立て遊びは、2歳から3歳くらいになってくるとモノだけではなく人を見立てる、つまり真似するようになっていきます。最初はお母さん。おそらく子どもたちに最も身近な大人だからです。残念ながら、お父さんを真似るのはもう少し先になってからです。
ここで面白いのがこの頃の子どもは、母親の役割を一般化したものを演じているのではなく、自分のお母さんだということ。だから、口調や仕草が子どもによって全然違います。
さらに2歳や3歳は、自我が未熟で一人遊びの要素が強く、他の子と一緒に遊んでいるように見えても共同ではなく、並んで同じ遊びしている(平行遊び)感じ。だから、2歳児クラスのままごこのコーナーでは、色々なお母さんが混在しています。
そして、4歳、5歳になるといよいよごっこ遊びが本格化。真似する対象も身近な家族から社会や職業などへと広げていきます。お店屋さんとかお医者さんとか。
遊び方や内容も格段に発展します。例えば病院ごっこ。そこにあるお医者さんや看護師さんという役割はこれまでと違って自分なり、ではなくより一般化されたものとなります。お医者さんは患者さんがきたら聴診器を充てて、カルテに記入し、薬を処方するみたいな感じです。これらをAくんやBちゃんと共有、役割を分担して一緒に楽しむのです。
だから、この「ごっこ遊び」・・・実は幼児期の子どもにとって、かなり高次元で力のいる遊びだったのです。だって、そうでしょう。少し難しく言えば、幼児期の子どもが頭の中にイメージをつくりあげ、論理性のある構造を構成しているってことです。そして、これらの性質から、この遊びが数概念の習得や言語、文字の発達にも大きく関わっているというところまでお伝えして今月は終わりにします。