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2018.09.05ECECという視点 【園長のひとり言】

突然ですが世界が関心を高めているECECについてお話します。初めて聞く方も多いかと思いますが、これは「Early Childhood Education and Care」の略で、直訳すると人生初期の教育とケア(養護)という意味になります。

 

これらが注目されるようになったのは1990年代以降のこと。国際社会において様々な研究成果から乳幼児期の発達と教育がその後の人生の経験や生活の質に極めて重要な意味を持つことが分かってきて、先進国を中心にこのECECと呼ばれる分野を政策的に推進してきました。もちろん日本も、です。

 

ちょっと難しいけれど、これまでの30年の流れをOECDという国際機関が発信している報告書「Starting Strong」(人生の早期に力強い一歩を踏み出すことが効果を上げる)で簡単に説明してみます。

 

まず2001年にStarting Strong Iで、これまで分けて考えてきた乳幼児期の「教育」と「ケア」を統合し、教育とケアを包括的におこなうことが大切だと示しました。つまり、乳幼児期は教えると学ぶという関係だけでは豊かに育たないってことです。

 

そして5年後の2006年に発表したStarting Strong IIで、世界の2大潮流とも言える就学準備とホリスティックを分類。ヘックマンによる教育投資の収益率のモデルを踏まえ、人的資本投資の観点からのECECの重要性を、とくに意欲や関心といった非認知的側面の重要性を指摘しました。

 

ここはちょっと難解ですね。まず就学準備とは、小学校教育を前倒した、いわゆる早期教育のこと。例えば読み書きソロバンです。一方ホリスティックとは全体的なとか包括的なという意味で、経験を重視するなど生活全体を通して子どもを育むということ。

 

そして、これらを区別しホリスティックな教育のなかで意欲や関心など目に見えない力である非認知能力を育てることが大切だと示したのです。しかも、それらで育つ子どもたちの豊かさは、その国の経済にも効果的だと、ね。

 

この後2012年にStarting Strong III、2016年にStarting Strong Ⅳを報告し、いずれも質の高いホリスティックな教育を維持していくために必要な事項を報告しています。

 

…と、読み難いのはココまでにして、要は30年くらい前から乳幼児期教育の重要性や価値が高まっているということなのです。が、その内容や方法は全く変わってきていて過去、日本で盛んだったような読み書きソロバンを早い時期からはじめることの効果が科学的に否定されました。

 

その代わり豊かな生活や遊び環境で子どもが主体的に活動し、学力調査や到達度テストでは数値化はできないけれど、目に見えない精神的健康や根気強さ、注意深さ、意欲、自信などの力を身に付けることで将来に積極的な影響を及ぼすことが明らかになっているのです。

 

最後に、OECDのバーバラ・イッシンガー教育局長さんの言葉を紹介しておきます。

『ECECは様々な恩恵をもたらし得るが、どの程度の恩恵をもたらすかはその質如何である。質を考慮せずにサービスの利用を拡大しても、子どもによい成果はもたらされず、社会の長期的な生産性が向上することもない。実際、調査研究によれば、質の低いECECは子どもの発達に好影響をもたらすどころか、長期的な悪影響を及ぼしかねない』

 

※OECD(経済協力開発機構):ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め35ヶ国の先進国 が加盟し、世界中の人々の経済や社会福祉の向上に向けた政策を推進するために活動を行っている国際機関

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